信託保全されるとビットコイン取引は安全になるのか?
「三菱UFJ信託銀行が仮想通貨信託保全を2018年からスタートへ」というニュースを各紙が12月26日に報じました。
FXやその他金融取引に慣れている方であっても、証券会社に勤めている方でなければ「信託保全」っと言われても、あまりピンとこない人も多いのではないでしょうか?
では、現実的に、仮想通貨信託保全がされた場合、取引参加者にはどれくらいメリットがあるのでしょうか?
信託保全によって守られる資産は何か?
三菱UFJ信託銀行が提供する仮想通貨信託保全の内容は、
「ビットコインの保有及び取引履歴を別に三菱UFJ信託側でも管理し、取引所の破たんや内部犯によるビットコイン喪失の際には顧客の仮想通貨資産を管理帳簿の元、保障する」
とのこと。
過去の事件で振り返ってみましょう。
未だにマウントゴックス事件として、よく例に出される仮想通貨取引における不正取引です。 簡単に言ってしまうと、ビットコインをマウントゴックスの仮想通貨取引所にて購入して、そのままマウントゴックスの口座で保管してたら、それがハッカーに盗まられちゃった! (実際は、社長さんが持ち逃げした!)ということです。
信託保全がされた場合、ビットコインは三菱UFJ信託銀行が保有され、取引所は請求権を持つのみです。
FXや株などの取引の場合は、すでに信託が法律で義務付けられていますので、参照してみましょう。下記が、我らがGMOクリック証券の分別管理の説明です。
(https://www.click-sec.com/corp/company/separate/)
さすがにこれでは、持ち逃げは、できません。
なので、この信託保全が徹底されていれば、マウントゴックスのようなことは起きなかった!と言っても良いと思います。
しかし、これで安心していいのでしょうか?
取引所にビットコインを預けている人は誰か?
ちょっといつも同じことを言っている気がしてしまいますが、今のビットコインの取引のほとんどを占めるのがレバレッジ取引です。
関連記事:日本のビットコイン取引高が世界1位の理由
ということは、ほとんどの人は、ビットコイン取引をしていても、ビットコインを保有しておりませんし、ビットコインを取引所に預けたりもしていません。
預ける必要があるのは、一部のビットコイン保有者やマイナーさんたちであって、ほとんどの人は日本円を普通に預けてレバレッジ取引をしているだけです。ということは、今の取引の状態が続いた場合、信託保全によって保全されるのは、一部のビットコイン保有者だけということになります。
守られるべき資産
預けているのがレバレッジ取引用の日本円であっても、売買用のビットコイン現物であっても、保全されるべきです。
三菱UFJ信託銀行のサービスはビットコインだけでなく、レバレッジ取引用の日本円も含んだ、仮想通貨取引所に対する総合的なものである可能性もありますし、三菱UFJ信託銀行のし信託サービスの評価をする段階には全くありませんし、詳細を待ちたいと思います。
この記事を読んで、「いやいや、うちはしっかりしている!」っとお感じになる業者の方もいると思いますが、ほとんどの仮想通貨取引所では、分別管理と称して、単にお客様資産管理用に銀行口座を分けているだけというのが実情です。
(ちょっと脱線しますが、貸金業法など本当に詳細に検討を重ねた上で参入されたと見受けられる業者様には脱帽しますし、敬意を持っています。)
では、何故みんなしないか?
信託は、費用と手間がかかるのです。信託が本当に問題になるのは、会社が倒産したときくらいですし、それが本当に必要かどうかを選ぶのはお客様次第かと思っています。
信託保全はなくて手数料がちょっと安い取引所と、信託保全ありで手数料がちょっと高い取引所なんていうことも見えて来るかもしれません。
投資はあくまで自己責任ですので、ぜひ自分の取引するスタイルを考えて取引所を選んでいただきたいと思います。
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