バイナンス(Binance)の世界展開を考察、日本など規制が厳しい地域へ進出は?

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バイナンス(Binance)の世界展開を考察、日本など規制が厳しい地域へ進出は?

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バイナンス(Binance)の世界展開を考察、日本など規制が厳しい地域へ進出は?

バイナンス(Binance)の世界展開を考察、日本など規制が厳しい地域へ進出は?

バイナンス(Binance)の世界展開の状況

本コラムでは世界最大の暗号通貨取引所バイナンス(Binance)の世界展開戦略を概観します。バイナンスは2017年に創業し、短期間で現物の取引高でトップの取引所に躍り出て、その地位を維持しています。同社は、創業当時には法定通貨を扱わず、暗号通貨同士のペアのみを扱う取引所として営業開始しました。また、その展開の際には、一般的に多くの消費者が生活する国では営業免許を取得せずにオフショアで運営をしてグローバル展開をしました。

しかしその状況は変わりつつあり、同社はいくつかの国で営業免許を取得して、正規の方法で世界展開をする方向に戦略を転換しています。今回のレポートでは、その状況の全体を理解することを目指します。バイナンスの世界展開の状況は執筆時点で、グローバル展開をするBinance.com以外に、アメリカとイギリス領ジャージー島、シンガポール、ウガンダで営業免許を取得してそれぞれの取引所運営しています。

それぞれの国に進出をする際には、バイナンスは規制当局との折り合いで、当該国のIPアドレスからのグローバル版Binance.comへのアクセスを遮断する対応をしています。これによって規制に準拠していない取引所の運営は、当該国では行っていないことになります。

アメリカでの取引所開設を準備している段階で、バイナンスはアメリカユーザーからのアクセスを中断することアナウンスしました。その発表時点でSimilarWebによる分析ではグローバル版バイナンスのおおよそ4分の1のアクセスはアメリカのユーザーでした。

これは相当な割合のユーザーがグローバル版のバイナンスを利用していたことを意味し、そのアクセスを一度遮断してまで、規制に遵守してアメリカで展開を実行した背景には、相応の戦略があるだろうと言えます。また、バイナンスの世界各国での進出では、その国に根ざしたパートナーシップを組む傾向が強く、アメリカ展開では、BAM Trading Services社と提携をしています。日本においては、Zホールディングス株式会社のグループ会社の取引所であるTAOTAOと提携の協議が行われています。

取引所システムを他の企業に供給するBinance Cloud

バイナンスは2020年2月に、新しいサービスとしてバイナンスクラウド(Binance Cloud)を発表しました。このサービスはバイナンスの取引所サービス基盤を他社の取引所に供給するサービスです。暗号通貨取引所のサービス構築は簡単ではなく、トレードのマッチングエンジンから、カストディ、入出金機能の開発が必要です。

Binance Cloudはこれらを全てクラウドベースで利用できるようにして、事業者が簡単に取引所を運営できるようにします。今後、OTC取引やIEOの機能なども追加する予定で、AWSやAzureでさまざまな機能を拡張できるのと同じように、多様な機能を容易に構築できるようにするといいます。

また、特筆すべき点として、Binance.comの流動性にもアクセスできるようにすると言います。取引所運営は、流動性をどのように得て、ユーザーを集めるかが鍵になりますが、Binance Cloudを使用すれば、その流動性の問題を解決できます。当然、これもバイナンスの世界展開戦略のうちの一つであると理解するべきで、これからBinance Cloudを利用する世界中の事業者は、バイナンスのパートナーになると言って良いでしょう。システムと流動性をBinance Cloudが担保すれば、他の業務は、規制対応・ユーザーの集客・カスタマーサポートなどいくつかに限定されます。数十カ国でバイナンス自身が取引所を運営するのではなく、機能を提供するプレーヤーになる姿勢が理解できます。

バイナンスUSをはじめとした世界展開の現状

これまでの戦略を踏まえると、バイナスのグローバル展開は、本家と言えるBinance.comの現物取引出来高とそのシステム基盤を軸にして、各国のパートナーと提携し規制に遵守した取引所も運営し、そのバックエンドを担っていると言えます。しかしながら、それら規制に遵守した取引所の運営は今のところ目立った成長を遂げている様子はありません。

イギリス領ジャージー島のバイナンスではBTCEURのペアが日に一桁億円相当しかなく、アメリカもコインベース(Coinbase)などとは勝負にならずにアメリカ国内で四番手、五番手に位置していることが現状です。この間も、Binance.comの現物取引出来高は落ち込むことなく、最近に始まったデリバティブ取引等も好調に成長しています。

これらの要因は一概には言えないものの、本家Binnace.comとの取次が実現していないからであると筆者は考えています。結局の所、取引所運営は流動性が非常に重要で、良い取引所は流動性があるためユーザーが流入し、ユーザーが流入によってさらに流動性が増えるというサイクルを経ます。

各国のバイナンスは、注文を世界最大の現物取引所であるグローバル版Binanceに取次することができれば、この流動性は瞬時に解決します。しかしながら、これは各国で運営されているいずれのバイナンスでも行われておらず、それは規制当局の容認を得られていないためと推察されます。海外取引所に取次が行われると、取引のカウンターパーティーが分からず、さまざまなリスクが懸念されると推察されます。日本国内においても、海外取引所への取次は現時点で困難であり、取次でなくとも海外取引所をカバー先にするにあたっても当局にさまざまな情報を提出することが求められます。実際に各国で運営するバイナンスの取引所が、Binance.comの流動性にアクセスができれば、非常に優位性は高いものの、今のところ実現していません。

日本をはじめとした規制が厳しい地域への進出は3-5年後?

これらの世界展開は、3~5年視野でバイナンスのより大きな成長を考慮すれば必須でしょう。オフショアで運営している限りは、マスメディアを使用したユーザー獲得などは不可能ですし、例えば日本でも100万人以上のユーザー獲得は現実的ではありません。同社が規制に遵守しようとする姿勢は合理的です。

要点としては、グローバル版バイナンスの流動性を価値にして、バックエンドとしてさまざまな国の取引所にバックエンド機能を提供、グローバル版バイナンスも少なくとも中期で存続し続けると考えを示しました。

同社は恐らくコインベースやビットメイン(Bitmain)などと比較しても、最も高い収益性を維持している暗号通貨企業であり、その展開はさまざまな企業に影響を与えています。今後も動向が注目されます。

参考
Binance Announces B2B2C Cloud Solution for Launching Digital Asset Trading Platforms

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